写真家、星野道夫さんについて。

気が付かなかったのだが、今年は写真家、冒険家、エッセイスト星野道夫さんの没後20年なのであった。最近NHK-BSで彼の特集番組があってそのことを知った。今年は武満徹さんの没後20年でもあり、そうか・・・、1996年は私に深い、深い影響を与えた二人の芸術家が相次いで亡くなった年だったのか・・・

もっとも武満さんと違って、星野道夫さんのことは亡くなった後にはじめて彼の名前を知ったのであったが(おそらく追悼のための写真展の開催や書籍が出版されるなど、メディアで名前を見聞きする機会が増えたためであろう)。アラスカの自然とそこに生きる動物や人々を活き活きととらえた写真と人柄を感じさせるエッセイ。私の音楽の様式は彼の写真や文章なしには確立しなかっただろう。実際、私は自作のひとつ、弦楽四重奏のための「天と地」を非公式ながら(ご遺族の許可をとっていない、という意味で)星野道夫氏に捧げている。

私の音楽は自然、とりわけ寒い地方の自然と民族の文化から多くのインスピレーションを得ている。それは幼い頃から両親によく山に連れていってもらったことと無関係ではない。高原の冷たく澄み切った大気、高い山に特有の、宗教的といってもよいほどの神聖な雰囲気。山への愛と北国への憧憬がいつしかひとつとなった。

もっと早く星野道夫さんのことを知っていればよかった。そうすれば生前、何としても会いに行っただろう。アラスカは何としても近いうちに訪れたい場所である。