月別アーカイブ: 2018年11月

11月

東京もこのところ急に寒くなり冬の足音が聴こえてきました。2018年もあとひと月と少し。月日の経つのは早いものです。

いま私は新作の作曲に没頭しています。年明け1月8日に東京オペラシティ・リサイタル・ホールで開催する深新會第35回作品展のための作品です。ヴァイオリンとピアノのための《2つのクラフト・ワークス》という曲で「オホーツクのヴィーナス」「ドラムを打ち鳴らすシャーマン」という標題のついたふたつの性格的小品から構成されています。ほんとは軽い小品を書くつもりだったのですが、書いているうちに段々力が入ってきて、もっと気楽な曲にしようと思ったんだけどな、と自分で自分に呆れています。でも少しずつ全体像が見えてきて、よい曲になりそうです。

先日NHK-BSでミュージカル映画「王様と私」のデジタル・リマスター版を放送していたので録画してゆっくり観ました。ユル・ブリンナーとデボラ・カー主演の名作です。リチャード・ロジャースの音楽が本当に夢のように美しくて、不覚にも泣いてしまいました(年のせいか?)。この映画はこれまで何度も観ていますが、私の感じ方が変わってきているのでしょう、本当に夢のなかの風景を見ているようなんです。この作品は西洋人の東洋人に対する蔑視的表現とか優越主義が見え隠れする、との批判がありますし、制作された年代を考えるとそれも否定できません。しかしたぶん行き詰まった西洋型文明が東洋に癒しを求め、実はどこにも(もはや東洋にすら)存在しない楽園を東洋(この場合はシャム、現在のタイですね)に投影したのではないでしょうか。その切実さに胸が締め付けられます。

美しさと悲しさは同じものだ、と聞いたことがあります。本当に美しくて悲しい作品です。